West Gate Laboratory

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家の二酸化炭素濃度を1年間測り続けてわかったこと

はじめに

およそ1年前、テレワークが勤務先にも本格導入された頃、家に余っていたM5Stackを使ってCO2モニタを作りました。

これがその時のツイート、去年の3月30日です。

CO2モニタを作ることに特に大きなモチベーションがあったわけではありません。以前秋葉原で買ったCO2センサがあることを休日に思い出して作ったものでした。

2020年4月5日には機能をアップデートし、Ambientにログデータを上げられるようにしました。

ambidata.io

このあたりからモニタを冷蔵庫に貼り付けて定常運用していたと思います。

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定常運用@冷蔵庫

それ以来およそ1年間、CO2濃度と合わせて温湿度を1分ごとにログしています。(時々機能テストなどで運用停止しています)

この記事では、1年間CO2モニタを使って二酸化炭素濃度を測り続けてわかったことについて書いています。そのほとんどは言われてみれば当たり前のことで、CO2モニタを作る前から定性的な知識としては知っていることでした。

ですが、実際にCO2濃度を可視化して、実生活とリアルタイムな値を見比べていくことでよりリアルな感覚として理解できた気がします。

なお、我が家は結構古い賃貸マンションで、24時間換気などのシステムは一切ついていません。以下に示す傾向は家の密閉度合いなどに影響されますので、ご注意ください。

データ全貌

全貌というほど大したデータではないですが、ここ1年間のデータがこちらです。

まずはCO2。

外気がおよそ400ppmと言われているので、そこが下限になります。それ以上の値は家の中での人間の活動によるものです。

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二酸化炭素濃度(2020年4月~2021年3月)

続いて温度。

2021年1月ごろになってようやく温度校正をしたので、それ以前は少し高めに出てしまっています。一年を通した気温の上下が見て取れて、あぁあの夏は暑かったな、などと思い出します。

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温度(2020年4月~2021年3月)

最後に湿度。

温度と同様、季節に応じた増減が見て取れます。やはり夏は圧倒的に湿度が高いことがわかります。2020年8月頃に凹が見られますが、多分湿度が限界で24時間窓を締め切ってエアコンをかけていたのだと思います。
また、冬でも平均40%程度の湿度を保っていますが、これは加湿器による効果が大きいです。

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湿度(2020年4月~2021年3月)

とまぁ1年のデータを並べるだけでもいろいろなことを思い出して面白いのですが、もう少し細かい、日常の気づきを書いていきます。

狭い部屋を締め切るとすぐにCO2濃度は上がる

テレワーク開始当時、まだ寒かったことや換気に対する意識が低いこともあって私はほとんど換気はしていませんでした。自室は6畳程度の和室なのですが、ふすまを締め切って仕事をしていました。

そんな密閉された狭い部屋に人間一人いると、ものの1時間程度でCO2濃度は1000ppmを超えてしまいます。さらにその状況が続くと、1500ppmにも達します。

デスクワークであれば呼吸は静かなものですが、それでもじわじわと溜まっていきます。いくらエアコンをかけようと空気清浄機を回そうとCO2濃度は下がりません。

CO2濃度が高くなると頭痛、眠気、倦怠感、注意力散漫などの症状が起きますが、私の場合1500ppm程度になると明らかに仕事に対する集中力が下がるのを感じました。

締め切った部屋で人が呼吸していればこうなるのは当たり前といえば当たり前なのですが、定量的に理解できたのはとても良かったと思います。

換気すればものの数分でCO2濃度は外気と同じ程度になる

まさに冒頭のツイートの画像がそれなのですが、窓を大きく開けて換気すれば、ものの数分で外気と同程度のCO2濃度に下がります。

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換気は大事(横軸は全体で10分程度)

ただし、換気の仕方は大事で、窓を開けるだけではなくて対面のふすまも開け、できればその先の部屋にある窓も開けて空気が通るようにした方が圧倒的に換気効率が良いです。1方向のみだとなかなか下がらなかったりします。

ドアを開けておけばそれほどCO2濃度は上がらない

狭い部屋を締め切っているとCO2濃度はあっという間に上がっていきます。逆に言うと、ドアを開け放っておけば、窓を開けなくともある程度CO2濃度上昇は抑えられます。

例えば、以下の図は実験的に6畳の部屋を締め切って仕事したときと、ふすまやドアをを開け放って仕事したときのCO2濃度です。空間を大きく取ると明らかに上昇が抑えられています。大々的な換気をしなくてもこれならなんとかなりますね。

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換気せずとも空間を大きく取ればCO2濃度上昇は抑えられる

季節によってはあまり頻繁に換気したくないこともあります。そういうときはできるだけ家の中のドアを開け放って、空間の体積を大きく取ることが大事なんですね。

ガス調理をするとあっという間にCO2濃度が上がる

うちのマンションはIHなどではなくガスコンロなのですが、窓を締め切ってガス調理をすると本当にあっという間にCO2濃度が1500~2000ppm程度に上昇しました。換気扇をつけていても窓が閉まっているとあまり換気されません。

例えば、こちらは確かテレワーク中の昼ごはんにパスタを作っていたときのCO2濃度。ガスコンロで10分弱加熱し続けている間にCO2濃度は急上昇します。調理後は換気必須です。

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(12時~)パスタを作るとCO2濃度が上がる

続いて、こちらは奮発してステーキを焼いていたとき。フライパンで焼いていたためCO2濃度は急上昇しています。

ひょっとしたら、ガスコンロではなくIHの鉄板とかで焼いていたらこうはならないのかもしれません。誰か検証してみませんか?

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(18:30~)ステーキを焼いてもCO2濃度は上がる

最後に

以上、CO2モニタを1年間使ってきた私の気づきでした。

読んでみるとごくごく当たり前のことばかりですね。でもその当たり前のことも頭で理解しているだけでは習慣にすることは難しいです。私も実際CO2モニタを使う前まで定期的な換気などは全くして来ませんでした。

実際に可視化して体感して効果を実感することで、自身の習慣にもなります。今では家族もモニタの数値を見て自発的に換気してくれるようになりました。

テレワークが普及して住環境を良くしたいニーズが増えてきたからか、この1年いろいろなところからCO2モニタが販売されているようです。

我が家で使っているM5Stackを使ったCO2モニタは現在スイッチサイエンスにてキットとして販売中です。githubでM5Stackに書き込むソースも公開しています。

www.switch-science.com

github.com

我が家が狭いこともあり、私の電子工作はできるだけ生活の役に立って長く使えるものを目指していますが、このCO2モニタはまだまだ使う気がします。