M5Stack用CO2モニターキットの紹介
はじめに
昨年、二酸化炭素濃度モニタ(CO2モニタ)を作りましたが、この度スイッチサイエンスでキットの委託販売を開始することが決まりました!
(2021年2月12日追記)
商品ページができました!スイッチサイエンスさんありがとうございます!!
近日中に発売します!
(2021年2月26日追記)
スイッチサイエンスより発売しました!
この記事では、M5Stack用CO2モニターキット(以下、本キット)の概要紹介、使い方、応用例などを紹介していきます。
キット概要
本キットは、M5Stackに接続し、GitHubで公開しているアプリケーションソフトウェアをM5Stackに書き込むことでCO2モニタが作れるキットです。
本キットの特徴
- 非分散型赤外線吸収方式(NDIR)のセンサであるSensirion製SCD30を採用しており、高精度に二酸化炭素濃度が測定可能です。
- 二酸化炭素濃度の履歴をM5Stackにグラフで表示することができます。
- アプリケーションソフトウェアをGitHubで公開しているので、M5Stackに書き込めばすぐに誰でも使い、改良することができます。
- 計測データをAmbientで保存・表示することができます。(Wifi環境および別売りのmicroSDカードが必要)
- 二酸化炭素濃度に応じてスマホやPCにPushbulletを使ってプッシュ通知を送ることができます。(Wifi環境および別売りのmicroSDカードが必要)
本キットで使用しているセンサSCD30の仕様は以下のとおりです。
その他センサのスペック詳細はメーカーページから確認することができます。
キットの内容物
本キットには、プリント基板・センサ(SCD30)、コネクタ、取り付けネジ、筐体が含まれています。M5Stackは別売りです。
ご自身でコネクタのはんだ付けや筐体のネジ止めをする必要があります。
室内環境の改善に
会議中、運転中、テレワーク中。寝不足でもないのに眠くなったり、集中力が出ないことはないでしょうか。
私は昔から「これ二酸化炭素のせいじゃね?」と思っており、それで昨年プロトタイプ版を作りました。
で、テレワーク中に使い始めたのですが、狭い部屋を締め切って仕事しているとものの1時間程度で1000ppmを超え、さらに続けると1500ppm近くに達してしまうことがわかりました。そうなると集中力は一気になくなります。
そこで換気をすると、5分ほどでCO2濃度は一気に下がり、すると不思議と集中力が回復します。(個人の感想です)
先日作ったCO2濃度モニタ見ながらテレワークしてるんだけど、1500ppmに近づくと一気に集中力が無くなる。換気すると5分程度で600ppm近くまで下がって、するとほんとにすぐ集中力が戻る。
— 水田かなめ (@kmizta) 2020年3月30日
テレワークしてるみんな、換気しろ、換気。マジで大事。 pic.twitter.com/zlQYh821Qn
CO2モニタがあれば、普段感じにくいCO2濃度を可視化することができます。
また、いつまで換気すればよいかの目安にもなります。ずっと窓開けっ放しだと寒かったり暑かったりしますからね。
換気の目安にいかがでしょうか。
CO2濃度の上昇をスマホに通知
本キットはPushbulletと連携して、スマホやPCにプッシュ通知を送ることができます。 (2021年2月11日現在、iPhoneには対応していないようです)
二酸化炭素濃度の注意レベルと警告レベルを任意に設定でき、それぞれのレベルを超えるとプッシュ通知を出すことができます。
「あー換気しなきゃなー」ってなります。
家の外から室内環境を確認
Ambientと連携することで、外部から室内の二酸化炭素濃度や温度湿度を確認することができます。
エアコンを付けると一気に温度が上昇し、同時に湿度が下がるのがわかって面白いです。(我が家は加湿器を付けているので湿度の低下は小さいですが)
慣れてくると、家に家族が帰ってきたことや料理をしているとかがグラフを見てわかるようになります。
家での使い方
M5Stackは背面に磁石が付いているので、例えば冷蔵庫に貼り付けて使用することができます。
我が家では1年以上冷蔵庫に貼り付けて使っています。
これで、意識的に換気するようになりました。
サポートページ
CO2モニタ用のアプリケーションソフトウェアや、キット組み立ての説明などはGitHubのREADMEにまとめています。
オープンソースなので、機能の追加なども可能です。
最後に
スイッチサイエンスで委託販売予定のM5Stack用CO2モニターキットの紹介でした。
皆さんのQOL向上の一助となれば幸いです。
FusionPCBにおける角丸基板・長穴・V-Cutの作り方
はじめに
先日、FusionPCBでプリント基板を注文しました。
その際、角の丸い基板(以下、角丸基板)や長穴、V-Cutを使ってみました。以下、備忘録を兼ねて、FusionPCBでこれらを使う場合のデザインの方法を書いておきます。
なお、CADはEagleです。
角丸基板
こんな感じに角が丸い基板を作りました。
こうした基板をFusionPCBで注文する場合は、単にDimension(レイヤ20)にLineで角丸のラインを選択して基板外形を描けばOKです。Widthは0です。
長穴
よく使うDCジャック用の長穴が入った基板を作りました。
長穴をEagleで作る場合、直接的な方法がなくて、ちょっと裏技的な感じに作る必要があります。
今回はPad+Dimensionで作りました。
以下の図が、長穴の入ったDCジャックのフットプリントです。プロパティは長穴形状を記した線で、Dimensionで描いています。
端子の部分には、まず通常のPadでスルーホールのパッドを作ります。(パッド中央に空いている穴はスルーホールの穴です)
パッドのサイズは長穴のサイズより大きくしてください。また、ドリルの径は長穴のサイズを超えないようにします。 (ドリル径が長穴外形を超えている場合そのとおりにドリルが開けられてしまう可能性があるため)
パッドができたら、次に長穴を描きます。長穴は角丸と同じくwidth0のDimension(レイヤ20)で描きます。 先程の角丸と同じ要領で長穴の外形を描いていきます。
これは秋月電子で売っているDCジャック用に作りましたが、画像上側の端子が他の2本の端子と比較して少し横に長いため、1番ピンのみ長穴の幅を拡げています。Eagleではパッドの縦幅と横幅を独立に変えられないため、1番ピンは画像のようにパッドサイズに対して長穴外形が少しいびつになっていますが、問題ありません。
これでOKです。注文すれば上の写真のようにきれいな長穴ができます。
これ以外の方法として、表面実装のパッドを表裏の同じ位置に配置し、長穴をDimensionで書き込む、という方法もあります。これであればパッドサイズも任意に設定できますし、ドリル穴もなくなるのでデザイン上きれいになりますが、トップとボトムのパッドが別端子として認識されてしまい、回路図上面倒なことになります。ですので、上の方法がおすすめです。
V-Cut
V-Cutは面付け(複数の基板を1枚にまとめて製造すること)と一緒に使うことになるかと思います。
面付けして複数の基板をまとめて1枚として製造すれば、基板1枚あたりの製造コストを下げることができます。
今回FusionPCBで24×29mmの基板を作ったのですが、3×4=12個で面付けを行ったため、10枚注文して合計120個分プリント基板を製造し、約5ドルでした。1枚あたりおよそ5円ですね。安すぎる。
さらに、基板間をV-Cut指定しておけば、自分の手でパキパキ分割することができます。下の写真が今回作った基板です。いくつか手で割ってみました。
FusionPCBにおけるV-Cutについては、公式サイトがあるので詳細は以下を参照ください。
ここではEagleで設計する際の具体例としてこの記事に記載します。
まずは、プリント基板のデザインを通常通り用意します。
次に、面付けしていきます。面付けするには、基板設計画面でTools->Panelizeを選択します。
Panelizeを選択すると以下のダイアログ画面が出てきます。要は、部品名称のシルクのレイヤ(tNames, bNames)は面付けでコピペすると連番になってしまうので、別レイヤに移動させてコピペしても連番にならないようにする処理です。Executeします。
問題なく処理が行われると、部品名称(この基板でいうとJP1, SV1)の色が変わります。レイヤ25のtNamesはレイヤ125の_tNamesへ、レイヤ26のbNamesはレイヤ126の_bNamesに移動するようです。
この状態で、全レイヤを表示させ、Ctrl+Aで全選択、カーソルを原点に置いた状態で(これ重要)、Ctrl+Cでコピーします。これで全レイヤがコピーされました。
ここで一旦デザインを「保存せずに」閉じ、新しくボード図を作成します。作成したらCtrl+Vで貼り付けます。この際、基板原点がボード図の原点と合うように、グリッド幅を元のデザインと合わせてください。基板左下が原点にピタリ合うように貼り付けます。
貼り付けたら、再度全レイヤを表示させ、同じようにコピペでどんどん増殖させます。このとき基板外形は隣の基板とぴったり重ねてください。
100×100mmを超えてしまうと値段が上がるので、それ以内になるようコピペ枚数を調整します。コピペが終わったら、基板外形(Dimension)が各基板ごとに途切れていたりして気持ち悪いので、ちゃんと引き直します。
Dimensionを引き直したら、最後にV-Cut指示を入れます。FusionPCBでV-Cutを指示する場合は、単にDimensionレイヤにテキストでV-Cutと入れればOKです。
出来上がりがこちら。
一番端部のDimensionはV-Cutではなく切り落としなのでV-Cut指示は入れません。
これで注文すれば上のようなV-Cut基板が出来上がります。
最後にガーバーを出力しますが、その際にPanelizeでレイヤ変更したシルク設定を反映させます。
CAM Processorで例えばSeeedFusionの両面基板設定を選択すると、デフォルトではBottom Silkscreenはlayer22(bPlace)とlayer26(bNames)が選択されています。Panelizeで26を126にコピーしましたので、26の代わりに126を選択します。
Top Silkscreenも同様に25から125に変更します。これでガーバー出力すればOK。
最後に
備忘録を兼ねてFusionPCBにおける角丸基板・長穴・V-Cutの作り方を書きました。
プリント基板をたくさん作るときはもっぱらFusionPCBで作っていますが、とてもクオリティが高いのに値段は安いのでおすすめです。
FusionPCBでプリント基板を作りました
はじめに
2年ぶりくらいにFusionPCBでプリント基板を作りました。
ちょうど3つ基板を設計していたので3つまとめて注文したのですが、短期間で非常に安く、かつ高品質な基板ができたので、紹介したいと思います。
3種のPCB、送料込みで27ドル(クーポン使用)
今回作ったのは、写真の3つの基板です。それぞれ10枚ずつ作りました。
注文は1/9、届いたのが1/22なので13日で注文から到着したことになります。
注文から製造完了まで、FusionPCBの注文履歴上で11日かかりましたが、その後出荷してから届くまでは2日でした。配送はDHLです。
気になるお値段ですが、手元にあった7ドルクーポンを使って送料込みで合計27ドルでした。3種類の基板をまとめて発注できたので、お得でした。
10枚ずつ作っているので、1枚あたり0.9ドル、約100円ですね。さらに左の基板はV-Cutで12枚まとめているので、1枚あたりは実質10円以下になります。めちゃめちゃ安いですね。
ちなみに、一種類ずつパックされて乾燥剤入りで届きます。
高品質なプリント基板
さて、これだけ安いと気になる品質ですが、これがとても良かったです。
2年くらい前に注文したときは、レジストのズレやシルクのかすれが結構気になったのですが、その後改善されたのか、レジストもシルクも非常にきれいでした。
気になっていた丸角基板やDCジャックの長穴も、きれーにできていました。
そして今回初めてやってみたV-Cutですが、これも完璧にできていました。
設計上パッドとの距離がギリギリで不安だったのですが、普通に手で割ることができました。
(ちなみに、V-Cut線とパッドの距離は最小0.4mmですが、これが0.45mmくらいで、デザインルール的にもギリギリです)
まとめ
FusionPCBで久々にプリント基板を注文し、とても高品質な基板を作ってもらうことができました。
近いうちに備忘録を兼ねてFusionPCBでのプリント基板の注文方法をはじめ、角丸基板の設計方法、長穴の入れ方、V-Cutの方法などをまとめておこうと思います。
最近はFusionPCBはPCBA(部品実装)も力を入れているみたいです。特に細かい部品が多かったりQFNみたいな手はんだが難しいパッケージを使ってる場合や、たくさん基板を作る必要があるときは使ってみたいと思います。
なんだかFusionPCBの回し者みたいな感じに記事になってしまいましたが、純粋な1利用者です。
さて、これから届いた基板のはんだ付けをしていきます。これからが本番。楽しみ楽しみ。
夢のCNC、Kitmill CL100を買いました
はじめに
以前から欲しかったCNCフライス、Kitmill CL100を昨年末ついに買いました。
私の主な用途は基板切削です。
年末年始の間にいくらか使ってみて、とても便利だったので、紹介しようと思います。
Kitmill CL100
Kitmillシリーズは、オリジナルマインド社が販売しているCNCフライスです。
私は電子工作でよくプリント基板を作りますが、以前はエッチングで作成していました。しかし、エッチング液を利用した基板制作は薬剤の有効期限であったり廃液処理だったり、どうにも面倒なことが多いです。
そこで、今回プリント基板の切削にも対応している、オリジナルマインドのKitmill CL100を購入しました。基板加工オプション、その他の細かいオプションを含めて30万強です。
Kitmill CL100は基板加工オプションを購入することで、プリント基板の加工が可能です。以前はKitmill CIP100というプリント基板加工専用のもう少し安価なシリーズがあったのですが、生産中止になってしまいました。
「なぜ自宅に基板加工用CNCが必要なのか?」と疑問の方も多いと思います。今どき基板制作の外注も安いですよね。
一方で、安いといっても送料含めて数千円にはなるし、安くしようと思ったら注文してから届くまで早くても1週間程度はかかるでしょう。しかも、欲しいのは1枚だけだとしても10枚程度は注文する必要があります。
プロトタイプを作ろうというときは、ぱっと設計してぱっと作ってぱっと動作確認したいところです。CNCによる基板加工はこれを実現します。
ブレッドボードが近い存在ですが、やはり最終的にケースに入れることを考えたり、大電流が流れるような回路ではブレッドボードとプリント基板上での動作特性は変わりますから、やっぱり外注前に一枚、プロトタイプ基板が欲しくなります。(購入前、こんなことをアレコレ考えて、悩んだ上で購入しました)
組み立て
Kitmill CL100は、自分で組み立てる必要があります。
注文するとダンボール3箱分くらいの部材が届きます。これを組み立てるのがなかなか骨で、結局「今日はX軸」「今日はY軸」といった感じに組み立てて、5日ほどかかりました。
オリジナルマインドのKitmill シリーズ、実は仕事でも少し使っていて、これで組み立てるのは二度目になります。
この製品のすごいところって、組み立て説明書がものすごい丁寧なんですよね。
こうした機械加工系の製品って組み立て精度が加工精度に大きく影響しますが、Kitmillの組立説明書は私のような機械系素人が組み立てても極力加工精度に影響が出ないような書き方をしてくれています。これがとてもありがたい。
例えば、「AをBにネジ止めします」というのも、「Aの右側のネジを軽く留め、下に動かして壁に当てて並行にした状態で全体を仮止めします、その後上下に動かして引っかかりがないことを確認の上ネジを締めます」といった感じです。そのあたりの勘所が薄い人にはこれがとてもありがたい。
このおかげで、組み立てたその瞬間から高精度な基板加工が可能になります。試行錯誤がほとんど必要ないのがありがたい。
動作確認、の前に
組みたったら早速基板加工しようぜ!と言いたいところですが、加工を始める前にモーターの慣らし運転が必要です。15分程度空回しします。これをしないと空回しでも過負荷リミッタに引っかかってしまう場合があります。
動作確認
まずは付属のテストプログラムで捨板(ベーク版)に加工をします。
my new gear... pic.twitter.com/cT5hFHuABK
— 水田かなめ (@kmizta) December 28, 2020
いい感じですね。
生基板を加工する
Kitmillでプリント基板加工をするときは、生基板を加工します。
養生テープでピッタリ合わせた生基板と捨板を、ベースプレートの上に両面テープでしっかりはりつけます。
基板加工オプションのおかげで基板のそりなどの影響なく、一定のクオリティで切削できます。
片面基板初削り さぁ働け働けー pic.twitter.com/C6Q0Mg7rLB
— 水田かなめ (@kmizta) December 29, 2020
Kitmillの基板加工オプションの詳細はこちらに公式の情報があります。
最初に作ったのは、ESP32のプログラム書き込み用のシリアルUART変換基板です。
こうしたちょっとした基板が、「作ろうかな」と思ったその場で設計して、加工して、はんだ付けして、動いちゃう。このサイクルが数時間で回っちゃうわけです。最高ですね。
両面基板加工
片面基板が加工できるとなると、今度は両面基板加工したくなりますね。基本Kitmillは片面加工がベースですが、ちょっと工夫すれば両面加工もいけます。
色々方法はありますが、厳密な精度を求めなければ、片面加工後基板を外してひっくり返して両面テープで固定し、再度加工すれば、コンマ2,3mmくらいの精度では加工できます。
Kitmillでの両面基板加工はもう少し工夫の余地がありそうなので、いずれ試して記事にしようと思います。
CNC+3Dプリンタで最強の電子工作環境
現在、自宅では3DプリンタとKitmillが隣同士で稼働しています。
この2つがあると、回路設計から基板加工、筐体制作まで部屋の中で手を汚すことなく一気通貫で行うことができます。
まとめ
年末に購入したKitmill CL100の紹介でした。基板加工オプションを含めて30万強のこれを高いと思うか安いと思うか人によると思いますが、「素人でも説明書に従って組み立てればすぐに部屋で精度の高い基板加工ができる」これだけでも買う価値があると思います。
今後使っていくうちにいろんなノウハウが溜まってくると思うので、それはそれで別途記事にしたいと思います。
みなさんもCNCで良い電子工作ライフを!
2020年作ったもの振り返り
はじめに
気がついたら年の瀬です。早いものですね。
今年は振り返ると、個人事業主になったりベンチャーで副業を始めたりMaker Faireに初出展したり、ただモノを作るだけでなく外の人と関わりが増えたり、いろんな事がありました。
今年一年、作ってきたものを振り返ってみようと思います。
宅配便再配達防止システム
今年最初に作ったのはこれです。セキュリティの甘さから絶賛大炎上したやつです。
インターホンの音を検知してスマホに通知してくれます。通知が来たときにスマホを操作すれば家のインターホンをサーボモータで操作できます。そして、配達員が家の前の宅配ボックスに物を入れてくれて、不在時も荷物を受け取れる、というものです。
はてぶのホットエントリに入ったり、10万アクセス来たりしました。
最終的にはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)から連絡が来ました。その後、認証機能を実装しました。
このシステムはRaspberry Piで動いていて、約1年経った今も現役で動いています。
ただ、テレワークが増えて自宅で受け取れることが多くなったので、スマホに通知は来ますがスマホから解錠することはほとんどなくなりました。
CO2濃度監視モニタ
次に作ったのがこれです。
だいぶ前に千石電商で衝動買いした二酸化炭素センサが家に放置されていたのを見つけたので、これまた家に転がっていたM5Stackと組み合わせて作ってみたものです。
部屋の中の二酸化炭素濃度をリアルタイムに表示してくれます。
これを作ったことで換気の大事さがよくわかりました。二酸化炭素濃度が上がるとすぐに集中力が落ちますし、窓を開ければものの5分で二酸化炭素濃度はおよそもとに戻ります。
Twitterに載せたら結構盛り上がりました。
先日作ったCO2濃度モニタ見ながらテレワークしてるんだけど、1500ppmに近づくと一気に集中力が無くなる。換気すると5分程度で600ppm近くまで下がって、するとほんとにすぐ集中力が戻る。
— 水田かなめ (@kmizta) March 30, 2020
テレワークしてるみんな、換気しろ、換気。マジで大事。 pic.twitter.com/zlQYh821Qn
これは今も家の冷蔵庫にくっついていて現役です。家族もコレを見て意識的に換気してくれるようになりました。
電子ピアノ演奏可視化装置 Bright Note
次に作ったのがこれです。
ピアノを弾くのがもともと趣味なので、ただ弾くだけじゃなくて演奏に応じて光ったら面白いだろうなぁーと思って作りました。
LEDはNeoPixelを使っています。Tsukuba Mini Maker Faireで@kasanetariumさんに教えていただきました。
電子ピアノのMIDI信号をESP32で読み取って、信号に応じてNeoPixelを流れるようなエフェクトを加えつつ光らせる、というものです。
ピアノ演奏を可視化する装置作ってみた。
— 水田かなめ (@kmizta) May 2, 2020
1320個のフルカラーLEDを使ってます。
ピアノを音と目で楽しむ!!#MFKyoto2020 #作品発表 pic.twitter.com/9QX18yCkYE
Bright NoteはMaker Faire Tokyoにも出展しました。Maker Faireは初出展でした。めちゃめちゃ楽しかったです。
Bright Noteは今も家で自分で使っています。最近はベートーヴェンのテンペストがお気に入りです。
都市型自走式ロープウェイ Zippar
夏前あたりから、Zip Infrastructure株式会社で副業を始めました。このとき個人事業主なるものになりました。
この会社では新交通システムとして、都市型自走型ロープウェイZipparを開発しています。私はここで電気系全般を担当しています。
最近よく小田原で実験しているのはこれです。ようやく人ひとり乗せて安定して動かせるようになりました。
ようやく自分が乗っても安心できる程度には制御が安定してきたぞ pic.twitter.com/yRoGLizrnf
— 水田かなめ (@kmizta) December 12, 2020
本業もエンジニアではあるものの開発スパンが非常に長いので、こうしたベンチャー的な開発の早さは非常に良い経験になっています。
低酸素トレーニングシステム
これはまだ開発中ですが、@hiraspoさんと低酸素トレーニングシステムの開発をしています。
@hiraspoさんはトレーニングジムを経営されており、そこの低酸素トレーニングルームの酸素濃度自動制御装置を開発しています。
それっぽい感じになってきた。
— 水田かなめ (@kmizta) December 7, 2020
BLE経由でバルブもいい感じに操作できている
問題は大電流の流れるバルブ周りの電源設計だなぁ pic.twitter.com/RuhHGLPgpp
近いうちに完成すると思うので、そのときまた詳細をお見せしたいと思います!
終わりに
今年はMaker Faireに初出展したり、個人事業主になったり、副業始めたりいろんな個人的チャレンジがあってとても楽しい年でした。
やっぱり何かものを作るのが性に合ってるようなので、人生が少しでも楽しく、便利になるものを来年も作り続けようと思います。
Bright NoteをオリジナルハードウェアコンテストGUGEN2020に応募しました
今年10月のMaker Faire Tokyo2020で展示した、電子ピアノ演奏可視化ディスプレイのBright NoteをオリジナルハードウェアコンテストのGUGEN2020に応募しました。
GUGENとは、「課題解決を主眼としたハードウェアのハッカソンやコンテスト等のイベントを通じて、ものづくり活動を支援する株式会社ピーバンドットコムの取り組み」です。
実用性や商品性の高いハードウェアを募集しており、せっかくなので、展示するだけでなく、こうしたコンテストに応募してみることにしました。
Bright Noteとは
改めてBright Noteの概要を説明します。
”Bright Note”は、電子ピアノにつなげるディスプレイで、演奏をリアルタイムに可視化することができます。
音楽とは本来文字通り音を楽しむものですが、このBright Noteをつなげて演奏すれば、音と同時に光を楽しむことができます。
やっぱりピアノって弾くのは楽しいんですが、どうしたって飽きちゃう瞬間があるんですよね。
Bright Noteを使うと耳でも楽しめるし、目でも楽しめます。そうすると、やっぱり楽しくていくらでも弾けちゃいます。
もともとBright Noteは自分用に作りました。しばらく使ってるうちに電源入れるのもめんどくさくなって使わなくなるかなーと思っていましたが、半年以上経った今も毎日使ってます。やっぱり光ると楽しいです。
なお、動画では結構暗いところで弾いていますがこれはその方が映像的に映えるからで、通常の室内光の下でも十分使えます。
Maker Faire Tokyo2020でもこんな感じに展示していました。
技術的な記事は、過去記事をご参照下さい。
Bright Noteの今後
今は、演奏のリアルタイム可視化、(ちょっとした)音ゲー機能などがついていますが、次に実装したいのは演奏の自動採点機能ですね。
現状実装している音ゲーのスコア機能と似ているのですが、一番の違いは、音ゲーは人間が音楽に合わせて演奏するのに対し、自動採点は人間が自由に弾くことができる点です。
プログラムが人間の演奏を自動追従して、弾き間違えや弾き飛ばしを識別して点数に反映します。
ただ、ソフトウェア的にはだいぶ複雑になるので、実装はまだ先になると思います。
最後に
この記事を最後まで見ていただいた皆さん、きっとBright Noteにご関心のあることでしょう。
GUGEN2020の選考にはGUGENウェブページ中の「ほしいね!」数も関わるらしいので、是非ボタンをポチって行って下さい!(以下のページでポチれます)
Maker Faire Tokyo 2020に出展しました
はじめに
10月3,4日に開催されたMaker Faire Tokyo 2020(MFT2020)にWest Gate Laboratoryとして出展しました。
出展したのはピアノ演奏リアルタイム可視化装置のBright Noteです。
↓MFT2020出展者ページ
私はMaker Faire歴は非常に浅く、今年の2月に開催されたつくばのMini Maker Faireを見に行ったのみでした。
MFT自体は参加も出展も初めてで、会場の雰囲気やロジ面など、わからないことばかりでした。
ここでは、備忘録も兼ねて出展に向けてやってきたことや、実際の展示内容の詳細について書いていきます。
Bright Noteの開発
出展申込締切が6月5日で、MFT2020まで約4ヶ月ありました。
実は、5月にオンラインで行われたMaker Faire KyotoでちょうどBright Noteのフルスケールができあがったので、申込み時点で8割方完成していました。
ピアノ演奏を可視化する装置作ってみた。
— 水田かなめ@West Gate Lab. (@kmizta) May 2, 2020
1320個のフルカラーLEDを使ってます。
ピアノを音と目で楽しむ!!#MFKyoto2020 #作品発表 pic.twitter.com/9QX18yCkYE
実際のところ上のツイートの時点ではメインの基板はブレッドボードで、このBright Noteの裏側にヒモでぶら下がっているだけの状態だったので、申込後、きちんと展示できるような基板・ケースを作成しました。
ケースは3Dプリンタで基板にピッタリ合うものを作りました。
基板に合わせたケースの設計方法は過去記事をご参照下さい。
展示レイアウトを考える
何をどう展示するか考えるにあたって、まずは会場での展示レイアウトを考えました。
私は家具の配置やら何やらを考えるときはよくパワーポイントで図を作ります。今回は1:15の縮尺で作っています。
通常は机が前面に置かれてその上に展示物を置くのだと思いますが、私の場合は電子ピアノが主役なので、それを置いてその横に机を置く形になります。
メイン以外の展示物を考える
メインの展示物はBright Noteそのものなのですが、その面白さ・コンセプトを伝えるにはただ置いておくだけでは伝わりません。
特に来場者の方は各展示物の事前知識がないことが想定されるため、できるだけ短時間で面白さを伝える必要があります。
一方で、MFTにはこの道ウン十年という強者も多いと思われるので、フワッとした説明だけでは物足りないでしょう。
そこで、メインのBright Noteでは常に電子ピアノの内蔵曲を使って演奏を可視化させつつ、そのそばにポスターと、フルスケール前に作った1オクターブのプロトタイプモデルを展示することにしました。
MFTと似たイベントとしては、理系なら学会発表があります。
ただ、大きな違いは、学会では結果や提案のすごい点を完結にわかりやすく伝えるのがメインなのに対し、MFTではその展示物が出来上がるまでの過程や失敗談なども重要である点です。
今回、ポスターでもそれを意識し、内容は機能ではなく、中身を重点的に書いています。
ポスター
実際に作ったポスターはこんな感じです。
ポスターは、サイズの面から目を引くこともできますし、強者向けに詳細な情報を詰め込むこともできます。
サイズは、机の横幅に合わせてA1としました。
印刷はビスタプリントさんで行いました。
ポスターは丸い筒に入れて運びますが、筒から出したときにもクルッと丸まらないような紙を使っているようで、助かりました。
プロトタイプモデル
実際に展示したプロトタイプモデルはこんな感じです。
会場では、各鍵盤に相当するLEDストリングをランダムで光らせることで、コンセプトを伝えると同時に内部構造を見せていました。
名刺を作る
今回、初めて趣味の名刺も作りました。 100枚1000円くらいです。安いですね。
Tsukuba Mini Maker Faireに行ったとき、ただ展示を見るだけでなく、面白いと思った展示をした人のTwitterなどをフォローするときに名刺のQRコードが便利だったので、作ってみました。
名刺は友人に超短納期でデザインしてもらいました。(感謝!)
くまちゃんはうちの子です。
搬入経路を考える
展示物ができたら、本番どうやって会場に持ち込むか考えます。
方法には、「公共交通機関で持ち込む」「事前に宅急便で送る」「レンタカーで運ぶ」などがあります。
今回、Bright Noteが長物で持ち方などにデリケートだったのと、電子ピアノが長い&重いだったので、レンタカーで運ぶこととしました。
今回使ったレンタカーはシエンタです。今回友人に協力してもらい4人で参加したので、座席と荷物でギリギリでした。
ピアノを練習する
これが一番大事ですね。
MFT本番ではBright Noteの生演奏デモンストレーションをするので、ピアノをひたすら練習しました。
↓MFTで生演奏デモをする私。
いざ、MFT本番!!
今回のMFTはコロナウイルスを考慮しブースの数も減らし、入場にも制限をかけています。
周りの人に聞いた感じ、普段のMFTは来場者でぎゅうぎゅうだということですが、今回はだいぶ余裕がありました。
それでもひっきりなしにいろんな方に見に来ていただいたので、あまり他の方の展示を見る時間はありませんでした。
会期中は、将来の発展版のヒントをもらったり、ピアノが超うまいお子さんに弾いてもらったり、普段Twitterでしか知らない人に会ったり、大変刺激的でした。
来年に向けて
今回初めてMaker Faireに出展しましたが、めっちゃ面白かったですね。
恐竜は歩いてるし、R2D2もいるし、文化祭のようなワクワク感が最高でした。
来年に向けてはまだ考え中です。何かまた作って出展したいなぁ。